私たちの体のすべての細胞のもととなる細胞、それが「幹細胞」です。
生命を維持している細胞にはそれぞれ一定の寿命があり、絶えず新しい細胞に入れ替わっています。幹細胞は寿命を終えた細胞を補うために、新しい細胞を生み出すことのできる特殊な細胞です。
幹細胞は体を構成する60兆個の成体細胞と違い、何度でも同じ幹細胞に分裂する能力(自己複製能)と、様々な成体細胞に分化変身する能力(多分化能)を持ち合わせています。つまり幹細胞とは自己複製能と多分化能という2つの特殊な能力をもった細胞といえます。
骨髄・脂肪・臍帯・歯髄などには間葉系幹細胞と呼ばれる幹細胞があり、特に骨髄にある間葉系幹細胞は血管や神経、心筋や皮膚、骨や軟骨、筋肉や脂肪などをつくることから、再生医療の要として数多くの臨床研究が行われています。
世界の間葉系幹細胞の治験状況
(由来別の使用頻度)
参照:World Global Status of MSC Clinical Trials(2015)
また、老化するとは、幹細胞が減少していくことでもあります。間葉系幹細胞の研究では、新生児のときのこの幹細胞の量を100とすると、10代では約10%、50代では2.5%、80代になると0.5%に減ってしまうことが報告されています。
幹細胞の減少に比例して(年をとるにしたがって)、人間のもつ再生能力は失われていくと考えられます。シワやシミができるのも、高齢者の骨折がなかなか治りにくいのも、幹細胞が減少するためです。
幹細胞が減少すること自体は自然の摂理であり、病気や疾患ではありません。しかし、減少する幹細胞量を抑えたり、外部から補充することで再生能力を増幅させることができれば、より質の高い生活を得られたり、より充実した人生に満たされるはずです。
間葉系幹細胞の加齢による変化状況
参照:Grabowski, G. and Robertson, R.N., 2013. Bone allograft with mesenchymal stem cells: a critical review of the literature. Hard Tissue, 2(2), p.20.
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